LINE公式アカウントの「セグメント配信」とは、特定の属性に絞り込んで、メッセージを配信する機能です。ユーザーの興味関心に合わせたメッセージ送信が可能になります。
この記事では、「セグメント配信」とは何か、また「LINE公式アカウントでどうやってセグメント配信の設定をするのか」を詳しくご紹介していきます。
セグメント配信とは?
まずは、セグメント配信の基本的な考え方をお伝えします。
セグメントとは?
「セグメント」とは、マーケティングで使われる用語で、共通の特性やニーズを持つユーザーのグループのことです。
例えば、「東京在住」「30代」「男性」「購入履歴あり」などが挙げられます。年齢や性別、居住地、興味関心、購買履歴など、様々な基準でユーザーをセグメントに分けることができます。
このセグメントごとに、メッセージなどを配信することをセグメント配信と呼びます。
セグメントでユーザーを分けない場合は、関西の店舗のセール情報を関東の方に送ってしまうかもしれません。また、女性用衣類のクーポンを男性にも送ってしまうかもしれません。
「メッセージの受け取り手のニーズ」と「配信内容」のギャップを減らすためには、セグメント配信が重要です。ユーザーを理解して、必要な情報を必要な人に適切に届けましょう。
LINE公式アカウントのセグメント配信(絞り込み配信)
LINE公式アカウントを運用している場合にも、セグメント配信を利用することができます。LINE公式アカウント上では、「セグメント配信」という機能があるわけではなく、メッセージの配信先を絞り込むことで、セグメント配信を行うことができます。
ここからは、LINE公式アカウントに即して「絞り込み配信」という言葉で説明していきますが、セグメント配信と同じだと考えていただければ問題ありません。
LINE公式アカウントで絞り込み配信が大切な理由
絞り込み配信を行う理由として、以下のメリットが挙げられます。
ブロックの回避
LINE公式アカウントは友だち追加が容易な分、ブロックもされやすいのが特徴です。ブロック率の平均は、業種にもよりますが、20〜30%と言われています。
- 自分に関係のない情報
- 興味のない情報
が複数回届くと、メッセージの受信が煩わしくなり、ブロックにつながってしまいます。せっかく集めた友だちも、ブロックされては意味がありません。
そこで、絞り込み配信の登場です。その情報を必要としているセグメントにのみ配信することで、友だちにとって関係のない情報を送信することを防ぎ、ブロックの回避に繋げることが可能です。
課金される追加メッセージ対策
LINE公式アカウントは、プランによって無料メッセージ数が決まっています。
スタンダードプランでは、その通数をオーバーすると、1通あたりの料金がかかってきます。(コミュニケーションプランとライトプランは追加での送付が不可)
そのため、出来るだけ無駄な配信を減らすことが重要です。絞り込み配信をすることで、関係のないセグメントへの配信を省き、メッセージ通数を減らすことが可能です。
配信対象を明確にすることでメッセージの反応率がアップ
ユーザーの属性に合わせたメッセージを作成することで、反応率の向上が期待できます。
例えば、化粧品のLINE公式アカウントの場合、20代のユーザーと40代のユーザーとで、「提案する商品」「訴求する内容」「画像などのクリエイティブ」を変えることで、反応率を向上させることができるのはイメージがしやすいかと思います。
このように、セグメント配信を用いて、属性に合わせたメッセージを作成することで、高い反応率が期待できます。
セグメントごとにメッセージを作る必要があるため、それだけ作成コストがかかります。まずはここぞという時、力を入れたい配信から、セグメント配信を取り入れてみてください。
LINE公式アカウント【2つの絞り込み機能】
LINE公式アカウントの絞り込みは2つの方法で可能です。また、この2つは併用することもできます。
1つずつご紹介していきます。
「属性」で絞り込む
LINE公式アカウントには「属性」が5つ用意されています。ユーザーは自動的に属性ごとに分類され、
この属性に対してセグメント配信を行うことができます。また、それぞれの属性を組み合わせることも可能です。
友だち期間 | ・6日以下 ・7日~29日 ・30日~89日 ・90日~179日 ・180日~364日 ・365日以上 |
性別 | ・男性 ・女性 |
年齢 | ・14歳以下 ・15~19歳 ・20~24歳 ・25~29歳 ・30~34歳 ・35~39歳 ・40~44歳 ・45~49歳 ・50歳以上(2024/10以降に細分化予定) |
OS | ・Android ・iOS ・Windows Phone ・BlackBerry ・Nokia ・Firefox |
エリア | ・47都道府県 ・北海道 ・東北地方 ・関東地方 ・甲信越 ・北陸地方 ・東海地方 ・関西地方 ・中国地方 ・四国地方 ・九州 ・沖縄地方 |
この属性の絞り込みを利用すると、例えば「20代 × 男性 × 関東地方」のセグメントにのみメッセージを配信することが出来ます。
「オーディエンス」で絞り込む
「オーディエンス」と呼ばれるセグメントを作成し、絞り込みの条件にすることができます。オーディエンスには以下の種類があります。
◆オーディエンスの種類
- メッセージクリック
- メッセージインプレッション
- リッチメニュークリック
- リッチメニューインプレッション
- 友だち追加経路
- チャットタグ
- 予約
- ユーザーIDアップロード
- ウェブトラフィック
順番にご紹介します。
メッセージクリック
「過去に配信したメッセージに含まれるリンク」をクリックしたユーザーを対象に、オーディエンスを作成できます。配信から60日以内のメッセージがリストから、対象のURLを選びオーディエンスに設定します。配信に利用するには、オーディエンスのサイズが50以上必要です。
メッセージインプレッション
「過去に配信したメッセージを開封したユーザー」を対象に、オーディエンスを作成します。配信から60日以内のメッセージから、対象のメッセージを選択して設定します。配信に利用するには、オーディエンスのサイズが50以上必要です。
リッチメニュークリック
リッチメニューをクリックしたユーザーを対象にしたオーディエンスです。配信に利用するには、オーディエンスのサイズが50以上必要になります。
リッチメニューインプレッション
リッチメニューを表示したユーザーを対象にしたオーディエンスです。配信に利用するには、オーディエンスのサイズが50以上必要になります。
友だち追加経路
特定の経路で友だち追加したユーザーを対象にしたオーディエンスを作成出来ます。配信に利用するには、オーディエンスのサイズが50以上必要です。
チャットタグ
事前に作成している「チャットタグ」を、オーディエンスに設定することができます。
チャットタグは、チャットを行なっているユーザーに任意で付与するタグです。
例えば、「1月来店」「2月来店」など、運用者がユーザーとのチャットに自由にタグをつけて管理することが可能です。
このチャットタグをオーディエンスとして用います。
予約
「LINEで予約」経由で予約したユーザーを対象にできます。「LINEで予約」とLINE公式アカウントを連携している場合に利用できるオーディエンスです。
ユーザーIDのアップロード
LINEのユーザーは、個別の「ユーザーID」を持っています。オーディエンスとしてセグメント化したい「ユーザーID」をTXT、CSV形式のファイルにしてアップロードすることで、オーディエンスを作成することができます。ユーザーIDを取得するには、「Messaging API」を利用する必要があり、高度な設定となります。
ウェブトラフィック
LINE Tagのトラッキング情報をもとにしたオーディエンスを作成できます。LINE Tagとは、LINE広告の配信効果を把握するためなどに使用されるタグです。LINE TagをWebサイトに設置すると、配信するメッセージのコンバージョン計測やカスタムオーディエンスの作成が行えます。配信に利用するには、オーディエンスのサイズが50以上必要です。
LINE Tagの詳細については以下の動画も参照ください。
オーディエンスの作成方法はLINE公式マニュアルも合わせてご確認ください。
LINE公式アカウントの絞り込み配信の注意点
LINE公式アカウントの絞り込み配信には、いくつかの注意点があります。
1.「属性」のターゲットリーチ数が100名未満の場合
「属性」を利用して絞り込みを行うときは、ターゲットリーチ数(=配信されるユーザー数)が100人以上必要になります。
例えば、全友だち数が500名いたとしても、「20代 × 男性 × 関東地方」で属性を絞り込んだ場合、絞り込み条件の該当者が、90名だった場合は送信することが出来ません。
2. タイムラグに注意する
友だち数の計算はタイムラグが発生します。属性は3日前の情報を元に絞り込みが行われます。
急に友だちが増えたからといって、すぐさまターゲットリーチ数に反映されるわけではありませんのでご注意ください。
3. 「属性」はあくまでも推計である
「属性」は、LINEが独自に推計したデータとなっています。そのため、確実ではありません。推測したデータであることを知っておきましょう。
4. 「属性」と「オーディエンス」での絞り込みしかできない
LINE公式アカウントの絞り込み配信は、先述した「属性」と「オーディエンス」での絞り込み配信しかできません。
そのため、以下のようなセグメント配信はできないのでご注意ください。
- アンケートの回答情報に合わせたセグメント配信
- 会員登録の済/未済で絞り込んだ配信
- 少人数のセグメントに向けた配信
- クーポン利用をしていない人へのリマインド配信
- 選択肢付きメッセージをタップした人への絞り込み配信
上記のように、任意のユーザー情報やアクションを収集し、それを基にしたセグメント配信は、LINE公式アカウントだけでは実現できません。
この課題を解決するには、当社が提供するLINEマーケティングツールのLinyのようなツールが必要です。より細かなセグメント配信を実施したい場合は、Linyの活用もご検討ください。
LINE公式アカウントの絞り込み配信の設定方法
LINE公式アカウントの管理画面での、絞り込み配信の設定方法をご紹介します。オーディエンスはすでに作成しているとします。
管理画面にログインし、左サイドメニューの「メッセージ配信」>「メッセージを作成」を選択し、メッセージ配信画面が表示されるのを確認します。
絞り込み配信の場合は、「配信先」で「絞り込み」を選択します。そうすると、「オーディエンス」と「属性の絞り込み」が表示されます。
友だちが100人未満の場合は、属性の絞り込みは利用できないため、赤字で「属性で絞り込むには、ターゲットリーチ数が100人以上必要です」と表示されます。
オーディエンスで絞り込みをする場合は、「+オーディエンスを追加」を選択します。オーディエンスは1回のメッセージに10個まで追加ができます。
属性で絞り込む場合は、「+フィルターを追加」をクリックします。
どの属性を設定するのかをプルダウンで設定していきます。属性も複数設定することが可能です。
配信先を設定したら、あとは通常のメッセージ配信と同じように配信日時や配信内容を設定すればOKです。
さらに自由にセグメント配信をする方法とは?
先述しましたが、LINE公式アカウントの標準機能では、「属性」での絞り込みと「オーディエンスを設定」した絞り込みが可能です。一方で、以下のようなセグメント配信をしたい場合もあるでしょう。
- アンケートを行ない、その回答によってセグメント配信したい
- 誕生月の方のみにクーポンを配信したい
- 自店舗のお客様だけにチラシを送付したい
- 会員だけにメッセージを送りたい
このような場合は、LINE公式アカウントだけでは実現できないため、自社でシステムを開発したり、LINE公式アカウントの拡張ツールを用いることになります。
弊社のサービス「Liny」を利用すると、一人ひとりにあったメッセージの配信が可能になります。
自由度の高いセグメント配信の方法にご興味がある方は、以下の記事をご覧下さい。
セグメント配信で成功した事例を紹介
セグメント配信を活用して、運用を成功させたお客様事例をご紹介します(Linyを併用したセグメント配信の事例となります)。
「年代」「詳細な地域」に応じた配信を実現する、滋賀県の事例
滋賀県のLINE公式アカウントでは、年代別や地域別に、特定の情報配信を実施するケースがあります。そのため、友だち登録時にアンケートを送付して「年代」「住んでいる地域」といったユーザーの情報を取得し、配信したい人を個別に選択した詳細なセグメント配信を実施しています。
参考:【滋賀県】リッチメニューを充実させ、急な情報配信も素早く設計&反映
多様な顧客ニーズを把握して、的確に情報を配信する不動産会社の事例
新築住宅事業、アパート賃貸の仲介、不動産の分譲など、複数の事業、複数の拠点で事業をされているため、LINE公式アカウントに登録されるお客様のニーズもバラバラ。お客様の属性やニーズをアンケートで取得して、セグメント配信することで、「配信されるといつも見たくなるようなLINEアカウント」を実現しています。