マーケティング

【図解】A/Bテストとは?意味や実施方法を解説(事例あり)

【図解】A/Bテストとは?意味や実施方法を解説(事例あり)

【図解】A/Bテストとは?意味や実施方法を解説(事例あり)

A/Bテストはマーケティングなどで利用されるテスト手法の一つです。複数のコンテンツを作成してテストを実施することで、より成果につながるパターンを知ることができます。

マーケティング施策において、A/Bテストを活用してコンバージョンの最適化を行うことは非常に効果的です。この記事では、A/Bテストを日々の業務に活かしていけるよう、基本的な知識から実施方法まで詳しく説明していきます。

A/Bテストとは?【基本の意味・効果・目的】

A/Bテストとは、複数のコンテンツを準備して、各コンテンツのコンバージョン(成果)を測定し、「より良い成果が出るパターン」を判断するためのテスト手法です。例えば、文言が異なるボタンを2種類用意して、どちらの方がクリックされるのかを検証します。

ABテストの例

ABテストの例。効果的なボタンはどちらかを検証する。

A/Bテストは、Webサイトランディングページ(LP)の改善によく使われますが、広告メルマガLINE公式アカウントなどの配信効果を高めるためにも利用できます。

参考:LINE公式アカウントでA/Bテストを行う方法を解説

A/Bテストは、テストを行うタイミングによって、「逐次(ちくじ)テスト」と「並行テスト」の2パターンあると言われています。

  1. 逐次テスト:Aパターンの検証後に、Bパターンの検証を行う
  2. 並行テスト:同じ期間に、ランダムで割り振ったユーザー群に対してそれぞれのパターンを表示する
逐次テストと並行テスト

逐次テストと並行テスト

逐次テスト」はA/Bテストツールを用いることなく実施できるというメリットがありますが、テストの時期がずれることにより、時期による影響や差異が出てしまい、検証結果の正しい比較が困難になる可能性があります。

そのため、A/Bテストと言うと、通常「並行テスト」を指します。A/Bテストを実施する際には、ユーザーに表示するパターンをランダムに切り替える必要があるため、A/Bテスト機能を搭載したツールを使用することになるでしょう。

A/Bテストの検証期間やサンプル数は?

A/Bテストの検証期間は、一般的に2週間以上必要だと言われています。曜日やイベントなどの状況によって左右されないためにも、2週間以上を基準にしてみてください。

また、サンプル数の目安は、500〜1000と言われています。サンプル数が集まるほど信頼性の高い結果が得られますが、アクセス数や配信数はメディアの規模によって限られる場合があるため、これらの数は目安として捉えてください。

A/Bテストを行うメリットは?

A/Bテストを行うには、テストツールを用いたり、複数のパターンを作ったりと、施策を行うためのリソースが必要になります。それでもA/Bテストを行うことが推奨されているのには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

ここでは、3つのポイントをご紹介します。

1. データを基に効果を検証できる

まずは、データによる効果を検証できる点です。

例えば、LPのリニューアルをする場合、現在のLPよりも新しい方がより良い成果がでるかどうかは、検証してみないとわかりません。実際にA/Bテストを行い、データで成果を比較してから結果が良いパターンで実運用を行うことで、「リニューアルしたことで、成果が悪くなってしまった...」といった事態を避けることができます。

2. 部分的な改善に迅速に取り組める

A/Bテストは、一部分だけに焦点を当てた改善も得意とします。例えば、ボタンの文言を変えるだけで、コンバージョンが向上した、という例も少なくありません。

さらに、部分を変更するだけであれば、テストパターンの作成もそれほど時間をかけずにできます。

3. 効果が高いクリエイティブの傾向性を知ることができる

A/Bテストを重ねていくことで、反応率が高いクリエイティブ(テキスト、デザインなどの制作物)の傾向性を蓄積して把握していくことができます。

ノウハウを蓄積することで、質の高いクリエイティブの作成スキルが磨かれていきます。

A/Bテストを行う際の注意点は?

A/Bテストを行う上で、注意したいポイントをご紹介します。

検証は同時に実施する

先述したように、A/Bテストは複数のパターンを同時に実施することで、成果の信頼性を担保することができます。

異なるタイミングで実施をすると、「休日の有無」「ニュースやトレンド」「天候」「イベント」など、さまざまな条件によって反応率が変わる可能性があるからです。

同時にA/Bテストを行う場合には、ユーザー群をランダムでパターンごとのグループに振り分け、それぞれに異なるコンテンツを表示させる仕組みが必要になるため、一般的にはA/Bテストを行うためのツールが用いられます。

媒体(例:Webサイト・LP、広告、メルマガ、LINE公式アカウント)によって、テストツールは異なるため、A/Bテストを実施したい媒体に合わせて、選択しましょう。

LINE公式アカウントのA/Bテストについては、以下のページで詳しく紹介しています。

複数の要素を同時に実施しない

1回のテストで変更する要素は1つに絞りましょう。例えば、ファーストビューの「アイキャッチ画像」と「申し込みボタン」の2箇所をテストしたい場合は、別々に実施するようにしましょう。

ただし、多変量テスト(次の「A/Bテストの種類」で紹介)が行える場合は例外です。

異なるA/Bテストを同時に実施しない

実施するA/Bテストは一期間に1つにしましょう。特に、同じ導線上にあるページでの同時テストには注意が必要です。

例えば、トップページの「資料請求ボタン」と、資料請求ページの「フォーム」のテストを同時に実施してしまうと、成果に影響をした要素を把握することが困難になります。

ただし、複数ページテスト(次の「A/Bテストの種類」で紹介)が行える場合は例外です。

A/Bテストの4つの種類(Webサイト/LPの場合)

ここからは、A/Bテストで実施されることが多い「WebサイトやLP」のA/Bテストの4つの種類をご紹介します。

1. 同一URLでのA/Bテスト

URLを変えることなく、テストツールなどを用いてページ内の一部の要素を変更するテストです。A/Bテストの中で、よく活用される手法です(同一URLのテストは、テストツールによって呼び方が異なります)。

例えば、変更したい箇所(例:ボタン、画像、テキスト)を選択し、テストツール上で変更して保存を行うだけで、簡単に新しいパターンが作成できます。

当社の事例

当ブログのサイドメニューのバナーを、同一URLでのA/Bテストとして実施。パターンAとパターンBで実施したところ、パターンBの方がクリック率が2.3倍、セミナー申し込み率が2倍という結果に。異なるパターンのバナーを作成して、テストツール上で設定をするだけで、簡単にテストが行えました。

同一URLでのABテストの事例

同一URLでのABテストの事例

2. リダイレクトテスト(スプリットテスト)

テストパターンごとに異なるURL(ページ)を用意し、ユーザーが該当のURLに訪問した際に、自動でリダイレクトをして割り振る方法です。ページを個別で作る必要がありますが、同一URLでのテストが難しい場合や、デザインを大きく変更したい場合などで利用することができます。

例えば、デザインが異なる複数のLPを作成して、どのLPが最も成果につながるのかを試したい場合などに活用できます。

リダイレクトテストの例

リダイレクトテストの例

3. 複数ページテスト

複数ページに変更を加えてテストする場合に利用します。ユーザーの導線に沿って複数のページを対象にできるため、ECサイトなどで利用されるケースが多いです。

例えば、【トップページ→商品カテゴリページ→商品詳細→購入ページ】といった導線の中で、それぞれの要素を変更して、どのパターンが効果的かを測定します。

ただし、テストツールによっては複数ページテストが提供されていない場合や、テスト可能な設定項目などは異なるため、詳細はテストツールごとに確認してください。

4. 多変量テスト

1ページ内で複数の要素を変更する場合に利用します。例えば、トップページ内の「ファーストビューの画像」「申し込みボタン」の2箇所を対象に、それぞれパターンを用意してテストをするケースが該当します。

多変量テストの例

多変量テストの例

どの要素の組み合わせが最適なのかを調べることができるため、効率的にテストをすることが可能です。一方で、それぞれのパターンにおいて一定量のサンプル数が必要になるため、多くのアクセス数やユーザー数が求められます。大規模サイトの場合は、実施されると良いでしょう。

こちらも、テストツールによって機能として提供されていない場合があります。実施できるかどうかはテストツールごとに確認しましょう。

優先的に取り組みたい!A/Bテストの比較要素(Webサイト/LPの場合)

引き続き、「WebサイトやLP」のA/Bテストにおいて、優先的にテスト対象として取り組みたい要素をご紹介します。

ポイントは、効果に影響しやすいものから実施すること。以下にご紹介する要素は、申し込みや問い合わせの改善につながりやすい要素です。

  1. ファーストビュー(画像、コピー、CTA)
  2. CTAのクリエイティブ(テキスト、ボタンデザインなど)
  3. CTAの位置・遷移先(導線)
  4. フォーム

1. ファーストビュー(画像、コピー、CTA)

ファーストビューは、ユーザーがWebページに訪問した時に初めに目にする領域のこと。

ファーストビューで与える印象や情報が、ユーザーの望むものや意図したものではない場合、スクロールされずにページから離脱してしまう可能性があります。そのため、ファーストビューに表示する情報や画像は大変重要です。

ファーストビューでの離脱は30-70%ほどと言われています。明確な平均値はなく、業種やサービスの種類、さらに流入が自然流入か広告流入かによっても異なります。まずは自社のWebページにおけるファーストビューでの離脱が何%なのかを調べ、それを基準に改善目標を立てていきましょう。

2. CTAのクリエイティブ(テキスト、ボタンデザインなど)

マーケティングにおけるCTAとは、Call To Action(コールトゥアクション:行動喚起)の略で、ユーザーの行動を促すもののこと。例えば、「申し込みはこちら」と記載されたボタンや「詳しく見る」と書かれたテキストリンクなどが挙げられます。

主に以下のポイントで、クリエイティブを検討されると良いでしょう。

  • テキスト:文言のパターン
  • 要素の形状:テキストリンク or ボタンリンク or バナーなど
  • ボタンデザイン:色、縁取りの有無、形状、矢印の有無など

設置場所によって、どんなクリエイティブが効果的なのかを検証していきます。

3. CTAの位置・遷移先(導線)

CTAは「位置」や「遷移先」などの導線設計も重要です。適切な位置にCTAを置くことで、Webページに訪問したユーザーを、次の行き先にスムーズに誘導することができます。

一般的には、ユーザーが最も興味を持って読んでいる場所や、目の引く場所への設置が効果的だと言われています。もしも熟読エリアにCTAがない場合は、CTAを設置するののもおすすめです。A/Bテストで実際に効果があるのか、試してみてください。

CTAの位置・遷移先の例

CTAの位置・遷移先の例

4. フォーム

申し込みフォームや問い合わせフォームは、改善することで成果が出やすい要素の1つです。

フォーム入力はユーザーの手間がかかる項目です。入力項目が不必要に多かったり、入力しずらい画面だったりすると、離脱につながる恐れがあります。

企業側が必要な情報が取得でき、さらにユーザーにとっても使いやすいフォームになるよう改善をしていきましょう。

A/Bテストの実施フロー

実際にA/Bテストを実施する際のフローをご紹介します。これはWebサイトやLPに限らず、一般的なA/Bテストで活用できます。

A/Bテストの実施フロー

A/Bテストの実施フロー

  1. A/Bテスト全体の目的とテスト方針を立てる
  2. 今回のテストで取り組む要素を選択する
  3. テストパターンを作成する
  4. テストを実施する
  5. テスト結果を分析し改善する

順番に見ていきましょう。

1. A/Bテスト全体の目的とテスト方針を立てる

まず、A/Bテストの目的を設定し、テスト方針を立てます。以下のポイントを明確にしましょう。

  1. 何を目的とするかを検討する(例:申し込み率を◯%アップさせる)
  2. 目的を阻害している要因をリストアップする

目的を阻害している要因のリストアップでは、以下のような視点でチェックしていき、改善したい要素を洗い出していきます。

  • ユーザー視点で改善対象の媒体(Webサイトなど)を操作しながら、マイナスポイントを書き出す
  • ヒートマップやGoogle Analyticsなどを見ながらボトルネックになっているポイントを発見する

【補足】

ユーザーの視点で使いづらさをリストアップしていく際、「ペルソナ」を作成していると視点のブレを防げます。マーケティングにおける「ペルソナ」とは、自社のお客様の像です。「年齢」「勤務している会社」「役職」「業務内容」「抱えている課題」などを詳しく設定し、架空のお客さま像を作り出します。ペルソナが設定できれば、自分がそのペルソナになったつもりで確認することで、改善点に気づきやすくなります。

2. 今回のテストで取り組む要素を選択する

洗い出した改善ポイントの中で、今回のテスト対象を選び、ゴールを設定しましょう。

  1. 今回のテストでは何を改善するか(例:トップページの申し込みボタン)
  2. 計測するゴール地点は何にするか(例:「クリック率」と「申し込み率」)

テスト対象を選ぶ際は、より効果が見込めそうな要素から取り組むことをおすすめします。

3. テストパターンを作成する

次に、テストパターンを作成していきます。

通常、WebサイトやLPであれば、現状で運用されているものが1つ目のパターンとなり、新しく他のパターンを用意します。また、A/Bテストといっても、2パターンだけではなく、3つ以上のパターンを作成することができます。

ただし、テストツールによって上限がある場合や、パターンを増やしサンプル数が多く必要になる場合、2〜3パターンで試すケースが一般的です。

また、クリエイティブを作成する場合は、「ペルソナ」の視点で見たときにどんな印象になるのかも忘れないようにしましょう。よく言われているように、整ったデザインが成果が出る、というわけではありませんが、どんなユーザーにとっても「見やすい、気付きやすい、わかりやすい」というポイントは大切です。

4. テストを実施する

次は、テストの実施です。テストツールなどを利用することが一般的です。

それぞれのテストツールで設定をしていきましょう。この際、A/Bテストの注意点で説明したように、「2週間以上」「サンプル数は数百〜数千」の条件を満たすようにテストを実施します。

5. テスト結果を分析し改善する

テストを実施したら、次にテスト結果を分析します。どのパターンがもっとも成果につながったでしょうか?また、仮説はどの程度正しかったでしょうか?

仮説とも一致し、顕著に成果が出たパターンがあれば、それを実際のWebサイトなどに反映して改善を行います。

もしも、テスト結果で明確な差異が出なかった場合や、仮説と乖離する場合があれば、もう少しテスト期間を伸ばしてサンプル数を増やしたり、別のパターンのテストを作成したりするなどのアクションを行うのも良いでしょう。

1つのテストが終われば、次のテストを実施します。

まとめ「A/Bテストで効果を出すために」

A/Bテストはコンバージョンの最適化をするための取り組みとして活用されています。テストを実施するには「テストの目的を決め、テストで比較したい要素を決め、テストパターンを作り、テストを実施し、分析して反映し...」と、担当者のリソースがかかる取り組みでもあります。一方で、コツコツ取り組み、効果があるパターンを見つけることで、成果につながっていくことでしょう。

A/Bテストはピンポイントの課題改善やWebページのリニューアル時にも活用できますが、継続的に改善を繰り返しながら、その時々で最適な状態に更新していくためにも有効です。できる範囲で継続的に取り組んでいきましょう!

また、今回はWebサイトやLPにフォーカスを当ててA/Bテストをご紹介してきましたが、LINE公式アカウントでのメッセージ配信においても、A/Bテストを行うことができます。LINE公式アカウントの標準機能を利用すれば、簡単にテストができるので、A/BテストをスタートさせるのにLINE配信から取り組むのもおすすめです。

LINE公式アカウントのA/Bについては、以下の記事で紹介しています。

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  • この記事を書いた人

鈴木優

LINE運用アドバイザー・Webディレクター・ライター。 【LINE公式アカウントBasic認定資格】保持。 LINE&Linyを利用した新規ビジネスの立ち上げに関わった経験を経て、現在はLINE&Liny運用アドバイザーとして導入・運用サポートを行う。当ブログで情報発信もしています。

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